Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「筆子・その愛—天使のピアノ—」—あるべき社会を創造する存在としての障害児・者
二通 諭
1,2
1札幌学院大学
2札幌大谷大学
pp.875
発行日 2024年8月10日
Published Date 2024/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203196
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「筆子・その愛—天使のピアノ—」(監督/山田火砂子:2007年)は,日本の知的障害教育の先駆者である石井亮一(市川笑也),石井筆子(常盤貴子)に光を当てた万人向けの一作.
知的障害教育史をひもとくと,その開祖は「アヴェロンの野生児」でも有名なパリの青年医師イタール(1774〜1838年),続いて継承者のセガン(1812〜1880年)となるだろう.セガンは米国に移住し,1879年,ニューヨークにて「生理学的方法」を実践する学校を開設する.翌年,セガンの死去に伴い,夫人が学校を引き継ぎ,16年後にここで学ぶことになったのが石井亮一(1867〜1937年)である.亮一渡米の動機は,立教大学校卒業後,1891年の濃尾大震災を機に創設した孤女学院に2人の知的障害児がいたことによる.帰国した亮一は,1897年に孤女学院を滝乃川学園と改称して,本格的に知的障害教育と指導者養成に乗り出す.
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