連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・106
天使の羽
冨田 江里子
1
1バルナバクリニック(フィリピン)
pp.182-183
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102409
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ジェミニは私が取り上げた男の子だ。今年10歳になる。
貧しい家庭の7人兄弟の中で,ジェミニだけが何度も重い病気になった。医師にも原因がわからないまま,たびたび肺炎をくり返し肺野はどんどん白くなった。この数年,彼の肺には半分ほどしか空気が入らず,常に低酸素状態で,四肢の指はばち状になっていた。それでも,調子がよければ学校へ通っていた。がんばり屋で我慢強く,学年でいちばん成績優秀だった。
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