書評
山口 美和 著「—PT・OT・STのための—これで安心 コミュニケーション実践ガイド 第3版」
深浦 順一
1
1国際医療福祉大学大学院
pp.764
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203168
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医療従事者にとって,コミュニケーション能力は身につけるべき必須の能力の1つです.理学療法,作業療法,言語聴覚療法の対象となるのは,さまざまな原因によって障害を有する方たちです.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士らは,本人,家族,その他の関係者,そして関連職種からの情報や検査などによる評価に基づいて,障害のタイプや重症度などを推論し,今後の計画の立案と予後予測を行いますが,計画立案においては,本人,家族の希望も考慮する必要があります.本人,家族との面接においては,対等な関係性のなかで情報や意向を聴取することと,その評価と今後の計画について説明を行い,同意を得る必要があります.この段階からの信頼性の構築は,その後の治療効果を左右する要因の1つと言ってもよいと思います.
このようにリハビリテーションの臨床にとって重要なコミュニケーション能力を身につけることは容易ではなく,コミュニケーションに関する知識と態度の修得が必要です.今般の言語聴覚士学校養成所指定規則の一部改正の議論のなかで,言語聴覚士養成所指導ガイドラインの教育内容と教育目標に,理学療法士教育,作業療法士教育と同様に「患者・利用者等との良好な人間関係の構築を目的に,人間関係論,コミュニケーション論等を学ぶ」と記載されています.コミュニケーション能力は,これらの講義と同時に実習などで障害のある方や高齢者,小児やその保護者の方と接する経験のなかで身につくものと考えます.
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