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はじめに
2016年度の診療報酬改定において,糖尿病合併症管理料を算定している糖尿病足病変患者に対し,治療用装具の処方が保険収載された1).糖尿病足病変は慢性疾患であるため,増悪と緩解を繰り返す.繰り返しながらも大切断などの重症化を回避し,できる限り足を残存させ歩行機能を維持していくことが重要となる.そのため,潰瘍治療期と緩解期で,途切れることなく装具療法を行うことは,重症化を回避するうえで必要な治療法の1つである.
これまで装具療法の主領域は整形外科とリハビリテーション科領域であり,それらの領域では専門の学会等を通して装具選択の指針が示されてきた.しかしながら,糖尿病足病変に対する装具療法は,これまでどのような病態でどのような装具を処方すべきかなどの明確な指針はなく,経験に基づく処方とならざるを得なかった.また,糖尿病足病変の治療は複数の診療科で行われることが一般的であり,装具を処方する医師もさまざまな診療科となるため,装具処方に関する指針が必要であった.
2022年に日本フットケア・足病医学会学術委員会が「足の創傷治療のための免荷方法の指針」2)を作成した(図1).糖尿病性足病変に関する国際ワーキンググループ〔International Working Group on the Diabetic Foot(IWGDF)〕の「Offloading guideline(2019 update)」が基盤となっているものの,海外と本邦で生活様式や保険制度が異なっていることなどから,日本フットケア・足病医学会による「重症化予防のための足病診療ガイドライン2022」3)を参考にし,実臨床の場面で使用できる実践的な指針とされている.
実際の糖尿病足病変では感染や血流障害を伴うことも多く,装具療法はそれらの治療状況を見極めながら行われる.本稿では,装具療法に限定した内容とするため,感染や血流障害の治療が完了している糖尿病足病変を前提として,日本フットケア・足病医学会による「足の創傷治療のための免荷方法の指針」2)に基づいて説明を行う.
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