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はじめに
1950年後半〜1960年前半,日本において医学的リハビリテーションのニーズは高まっていたが,専門技術者の資格制度が未整備であった.そのため,医学的リハビリテーションの本格的な普及・発展を目的として,その担い手となる理学療法士・作業療法士の資格を定め,その資質の向上,業務の適正化を図り国民の福祉に資するために,1965年6月29日に公布された法律が「理学療法士及び作業療法士法」であり,これが理学療法士の資格法である.その翌年の1966年7月17日に日本理学療法士協会(以下,本会)は110名の会員で設立した.今日,理学療法士の国家試験合格累計数は21万人を超え,作業療法士,言語聴覚士とともにリハビリテーション専門職として国内で評価され,東京2020オリンピック・パラリンピックで日本の理学療法士は世界標準であると国際的にも評価を受けた.2026年に本会は設立60周年を迎え,60周年記念事業として世界理学療法連盟学会の2025年東京誘致が決定し,主催国の研修大会,すなわち第60回日本理学療法学術研修大会を連続開催する初の試みが実現する.
こうした歴史の源流の1つは,1994年に開始した新人教育プログラムに端を発した生涯学習制度である.この生涯学習制度は数回の改変を経て運用され,一定の役割を果たした.しかしながら,急激な理学療法士の養成による卒後研修制度の見直しや地域包括ケアシステムに資する人材育成の必要性から,数年をかけた議論を経て,2022年度から見直された生涯学習制度(以下,新制度)が開始された.この議論の中核は,理学療法士の生涯教育の質向上と社会的評価を得る制度への見直しと理学療法士の多様なキャリアデザイン支援を目的とした制度への改変であった.
そこで,本会が未来に向けて改変した新制度,理学療法士の職能ならびに学問としての専門分化を中心に,理学療法士資格を基礎としたさらなる資格取得の動向や活躍の場の広がりなどについて概説する.
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