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特集 アディクション—コロナ禍で変わったこと,変わらないこと
【物質依存】
アルコール依存症の疫学—COVID-19の流行によってアルコール依存症は増えたのか?
Has the Person with Alcohol Use Disorder Increased during the COVID-19 Pandemic?
田中 増郎
1
,
山下 理英子
1
Masuo Tanaka
1
,
Rieko Yamashita
1
1慈圭病院
1Zikei Hospital/Zikei Psychiatric Institute, Okayama, Japan
キーワード:
アルコール依存症
,
alcohol use disorder
,
新型コロナウイルス感染症
,
coronavirus disease 2019
,
COVID-19
,
飲酒量
,
drinking
,
患者数の増加
,
increasing the person with alcohol use disorder
Keyword:
アルコール依存症
,
alcohol use disorder
,
新型コロナウイルス感染症
,
coronavirus disease 2019
,
COVID-19
,
飲酒量
,
drinking
,
患者数の増加
,
increasing the person with alcohol use disorder
pp.890-895
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207327
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抄録
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって,精神科医療も大きな影響を受けた。過去の文献やコロナ禍での飲酒量と受診者数の変化に関するデータなどを基に,この流行下でアルコール依存症の増加があったのかについて考察した。過去の自然災害や人的な災害後にアルコール依存症患者の数に増加はみられないとの報告があり,災害の1つと言える今回のCOVID-19流行下でも受診者数の著しい増加は確認できなかった。むしろ,流行初期には,外での飲酒の機会が減ったことで飲酒量が低下したとのデータもある。この結果がアルコール依存症を抱える人の人数の変化と直接関連しているとは明言できないが,アルコール依存症の増加が認められない1つの根拠ではあると言えるかもしれない。一方で,感染症対応を行った医療従事者ではアルコール依存症が増えたという報告があるため,今後は医療従事者が依存症に罹患するリスクへの警戒が必要だろう。
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