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増大特集 加齢とリハビリテーション
第2部 健康と障害への影響
2.障害者の加齢の問題 3)知的障害者の高齢化—障害福祉分野における新たな課題
Aging of people with intellectual disabilities: new challenges in the field
志賀 利一
1
Toshikazu Shiga
1
1社会福祉法人横浜やまびこの里
1Yokohama-yamabiko-no-sato Inc.
キーワード:
高齢知的障害者
,
心身の機能低下
,
親亡き後
,
意思決定支援
Keyword:
高齢知的障害者
,
心身の機能低下
,
親亡き後
,
意思決定支援
pp.647-653
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202529
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歴史と現状
1.知的障害者施策の大きな流れ
わが国の知的障害児者福祉は,75年前より子供の保護が始まり,62年前に対象が成人へと広がってきた.戦後間もない1947年に,いわゆる戦災孤児などの保護ならびに教護,さらに児童一般の福祉の増進などを目的とした児童福祉法が制定され,翌年施行されている.この法律では,知的障害児を入所させこれを保護するとともに,独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とした「精神薄弱児施設」が規定された.しかし,その後,児童期の保護的な環境から独立自活に至らず,知的障害児の施設で生活し続ける成人の問題が表面化してきた.そして,児童福祉法の制定から13年が経過した1960年に「精神薄弱者福祉法」が誕生し,成人期以降の知的障害者を対象に「精神薄弱者援護施設」において,保護ならびに更生に必要な指導・訓練を行うものと規定された1).
その後,援護施設として,就労を重視した授産施設や通所型の施設が設置されるなど,対象が広がってきた.その頃,都市部を中心に法外施設である小規模作業所の運営が始まった.ほぼ同時期に国際連合(以下,国連)総会で「精神遅滞者の権利に関する宣言」が決議され(1971年),1981年の国際障害者年,1993年の障害者基本法,1995年の障害者プラン(ノーマライゼーション7か年戦略)へと,わが国の知的障害者支援施策は,保護から「完全参加と平等」をめざすことになった2).
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