Japanese
English
研究と報告
手指屈筋腱腱鞘炎に対するA1 pulleyストレッチの有効性
A1 pulley stretching therapy for trigger finger of the hand: clinical outcome and indication
上田 剛史
1
,
村松 慶一
2
,
井上 清隆
1
,
谷 泰宏
2
,
木下 大介
1
,
瀬戸 哲也
2
Takeshi Ueda
1
,
Keiichi Muramatsu
2
,
Kiyotaka Inoue
1
,
Yasuhiro Tani
2
,
Daisuke Kinoshita
1
,
Tetsuya Seto
2
1長門総合病院リハビリテーション科
2長門総合病院手外科診療センター
1Department of Rehabilitation, Nagato General Hospital
2Hand Surgery, Nagato General Hospital
キーワード:
屈筋腱腱鞘炎
,
A1 pulleyストレッチ
,
腱鞘切開
,
ハンドセラピー
Keyword:
屈筋腱腱鞘炎
,
A1 pulleyストレッチ
,
腱鞘切開
,
ハンドセラピー
pp.997-1002
発行日 2021年10月10日
Published Date 2021/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202338
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要旨 【背景】手指屈筋腱腱鞘炎は,A1 pulley部の炎症と狭窄による腱の滑走障害が原因となる.A1 pulleyストレッチは屈筋腱の掌側への浮き上がりを利用して腱鞘を拡げる治療法だが,これまで報告は少なく適応や有用性は不明であった.そこで,健常者,腱鞘炎患者に対して評価・施行したので,その結果を報告する.【対象】健常者40名80手238指,患者28例32手41指.【方法】健常者に対して近位指節間関節(proximal interphalangeal joint;PIP関節)屈曲位,中手指節関節(metacarpophalangeal joint;MP関節)屈曲位,PIP/MP屈曲位で腱鞘断面縦径・横径,掌側板断面縦径と断面積をエコー下で計測比較し有効性の高い肢位を検討した.その結果から,患者に対してA1 pulleyストレッチを施行した.【結果】健常者での結果は,MP関節屈曲位での負荷が最も有効性が高い肢位であった.次に患者の結果は,中期の症例では,弾発現象の軽減,疼痛やPIP関節可動域の改善が有意に得られたが,重症化した症例では有意に改善しなかった.【結語】A1 pulleyストレッチは屈筋腱腱鞘炎に対して有効な治療の選択の1つとなり,特に侵襲的治療を望まない中期までの症例に対しては試みるべきと考える.
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