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実践講座 医療機関における治療と仕事の両立支援・1【新連載】
治療と仕事の両立支援の概要
Overview of support for integrating treatment and work ministry of health, labour and welfare
厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課治療と仕事の両立支援室
Ministry of Health, Labour and Welfare
キーワード:
事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
,
トライアングル型支援
,
両立支援コーディネーター
,
地域両立支援推進チーム
Keyword:
事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
,
トライアングル型支援
,
両立支援コーディネーター
,
地域両立支援推進チーム
pp.783-787
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202288
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はじめに
本邦では,65歳以上の人口は28%を超え1),65歳以上で働いている人も年々増加する2)など,高齢化が進んでいる.このような超高齢社会を背景に,疾病を抱えながら働く労働者の支援の重要性が増している.また,労働安全衛生法に基づく定期健康診断での有所見率は年々上昇を続けている3).今後,職場において,疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援の対応が必要になる場面が増えることが予想される.
疾病を抱えた労働者のなかには,仕事上の理由で適切な治療を受けることができない場合や,職場の理解・支援不足のために仕事を断念してしまう場合がある.例えば,糖尿病患者の約8%が通院を中断しており,その理由で最も多かったものは「仕事(学業)が忙しいから」であった4).さらに,病気休職制度を新規に利用した労働者のうち,38%が復職せずに退職していたという報告もある5).
2018年度の労働安全衛生調査(実態調査)報告によれば,傷病(がん,糖尿病などの私傷病)を抱えた労働者が治療と仕事を両立できるような取り組みがある事業所のうち,困難や課題と感じていることがあると回答した事業所の割合は76.1%6)であった.労働者の健康確保に向けた取り組みが重視されつつある昨今でも,治療と仕事の両立支援の体制は企業によってさまざまであり,支援方法や産業保健スタッフと医療機関との連携について課題を感じる担当者は少なくない7).
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