巻頭言
リハビリテーション科専門医が地域に影響を与えるための原点回帰
瀬田 拓
1
1国際医療福祉大学病院リハビリテーション科
pp.919
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202047
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リハビリテーション療法士による治療の恩恵を受けることができない地域は,わが国にはほとんどなくなった.小さな離島で活躍する療法士の報道などを目にすると,頼もしく感じるものである.では,リハビリテーション科専門医は,日本全国で行われている,すべてのリハビリテーション医療にかかわることができているだろうか.古典的な医療モデルで考えれば,専門医の直接的なかかわりがある患者のほうが多数とはいえないのが現実である.
小生がリハビリテーション科専門医の認定を受けたのは2005年.内科医として研修途中に転向したので,ようやく自身の居場所を得たような気分だった.専門医としての仕事は,その冥利に尽きるという表現がうってつけで,患者とその家族が笑顔になっていく過程にチーム医療で寄り添える喜びを味わった.ところがリハビリテーション科を標榜していながら専門医不在の病院が多数存在すること,さらに,一病院どころか地域全体に専門医が不在というところまであることを知るようになると,そのような地域へも専門医が貢献できる方法はないのかと思案するようになっていった.
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