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はじめに
新元号「令和」を迎えた今日,超少子高齢社会,労働生産性の低下という課題が日本に重くのしかかっている.Information Communication Technology(ICT)化がその解決の鍵と期待される.医療でも,とりわけ高齢者を多く扱う領域や労働生産性の低下を補う領域での貢献が求められており,リハビリテーション領域はその代表的な領域の一つであろう.他にも,介護領域,認知症/メンタルヘルス領域,生活習慣病領域などが挙げられる.しかしながら,このような超高齢社会の実現は日本が人類史上初めてである.その課題解決には試行錯誤を繰り返さねばならないが可能な限り迅速に,正確に,低コストで社会実装されることが望まれる.そのためには,まずは医療のみならず社会全体を俯瞰し,現状を正確に把握すると同時に,どのような方策が効果的であるかを予測せねばならない.
医療ICT化において,まずはこのような目的で威力を発揮するのが,ビッグデータ解析である.社会に蓄積した実社会データ(real world data;RWD)を加工し,従来の生物統計学のみならず,機械学習や経済学的解析手法などの医療分野では新しい解析方法を使って,実社会を可視化し解析する.さらにその先には,人工知能(artificial intelligence;AI)の開発を見据える.Society 5.01)と呼ばれるこれからの社会は,医療・介護を含めて,AIが不可欠な社会となるであろう.その方向性や形を定めるためにも現在の日本で運用されている社会データ基盤や解析手法,あるいは個人情報保護法を始めとする法制度の理解と課題の把握,データ活用基盤の整備状況,大規模データの活用やAIの開発状況,そして国際的な状況の把握は,未来の日本にとって大変重要である.
本稿では,これらをスコープとして今後の展開などについても述べたい.
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