書評
福井 勉 編「—《理学療法NAVI》—エキスパート直伝 運動器の機能破綻はこう診てこう治す[Web動画付]」
荒木 茂
1
1石川県立明和特別支援学校
pp.899
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201749
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編者の福井勉教授の人脈と眼力で集めた,運動器の理学療法のエキスパートが書いた本.これだけで新人理学療法士だけでなく,私のような昭和の理学療法士にとっても必読の本であることは間違いない.
腰痛や股関節,膝関節痛など,運動器疼痛症候群は明らかな外傷や,腫瘍,感染症などレッドフラッグを除けばその人の長年の姿勢や生活習慣,職業,スポーツなどにより特定の組織に物理的ストレスが,繰り返しまたは持続的にかかることによる累積加重型損傷が多い.何らかの機能破綻による特定の組織に対する物理的ストレスの蓄積が痛みの原因となり,ついには構造破綻を起こす.痛みのある部位を治療し患者の訴えが一時的に改善したとしても,原因となっている機能破綻(異常姿勢アライメントや異常な運動パターン)を改善しなければまた再発を起こす.再発を防ぐためには痛みの原因となる機能破綻に対する運動療法が必要であり,理学療法士の専門性が発揮されるところである.
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