巻頭言
社会参加を支援する街づくりへの道程
酒向 正春
1
1大泉学園複合施設(ねりま健育会病院・ライフサポートねりま)
pp.103
発行日 2018年2月10日
Published Date 2018/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201212
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「後遺障害で自由に動けなくなった患者に,その人らしい活動的な人間力を回復(人間回復)させ,維持していくためには何が必要なのか?」を考えて歩んでいると,いつしか街づくりがライフワークとなっていた.
1987年,愛媛で医師になってから30年が経つ.前半の15年間は,常に脳病変(病気)を見つめ治療してきた.地域の脳卒中治療を中心とした脳外科医療に貢献できることが嬉しく,後遺障害なく笑顔の退院まで漕ぎ着けたときは胸を張れた.しかし,原因によらず,後遺障害が残ったときは無力感を感じ,リハビリテーション病院へ依頼した.しかし,1990年代に重症者を積極的に回復させるリハビリテーション病院やリハビリテーション医は見つからず,この国には重症者の人間回復を実践する医療文化(リハビリテーション病院)がないと実感した.人間回復の医療は脳外科医の使命だろうと感じた.
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