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有賀悦子・田中 栄・緒方直史(監修)岩瀬 哲・河野博隆・篠田裕介(編)「運動器マネジメントが患者の生活を変える!—がんの骨転移ナビ」/24時間在宅介護実現した事例集
土屋 弘行
1
1金沢大学大学院医学系研究科整形外科学
pp.63
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200826
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ひとは亡くなるとき,何を思うのだろうか? 走馬灯のように頭を駆け抜ける自分の人生を振り返りながら,幸せな人生だったかどうかといったことを思うのだろうか? 人生,若いときの幸せよりも,亡くなる間際に幸せを感じられるかどうかで,自分の人生に対する満足度は,大きく異なるのかもしれない.
がん患者の人生最期の数か月が,絶望と苦痛に満ちてしまえば,せっかく過ごしてきた人生の日々も,虚しいものとなってしまう.そして,ひとがよりよく生き,最期のときを迎えるためには,自分の手で食事をとり,自分の好きなときに,自分の好きな所へ,自分の力で歩いて行けることは,ひとがひととしての尊厳を保ちながら死に向き合うための,重要なエレメントである.今や,がん患者においては,除痛あるいはスピリチュアルケアとしての緩和的アプローチのみならず,その運動機能を維持し,ADLあるいはQOLをその最期のときまで保ち続け,がん患者の「よりよく生きる」という希望をかなえることが重要となっている.
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