Japanese
English
症例報告
神経性食思不振症に合併した若年性脳梗塞に対するリハビリテーションの経験
Rehabilitation approach for juvenile cerebral infarction in a patient with anorexia.
玉田 良樹
1
,
香川 賢司
2
,
四方田 博英
1
,
田村 奈穂
3
,
岡田 仁
2
Yoshiki Tamada
1
,
Kenji Kagawa
2
,
Hirohide Yomoda
1
,
Naho Tamura
3
,
Hitoshi Okada
2
1国立国際医療研究センター国府台病院リハビリテーション科
2国立国際医療研究センター国府台病院脳神経外科
3国立国際医療研究センター国府台病院心療内科
1Department of Rehabilitation, Kohnodai Hospital, National Center for Global Health and Medicine
2Department of Neurosurgery, Kohnodai Hospital, National Center for Global Health and Medicine
3Department of Psychosomatic Medicine, Kohnodai Hospital, National Center for Global Health and Medicine
キーワード:
神経性食思不振症
,
若年性脳梗塞
,
早期リハビリテーション
Keyword:
神経性食思不振症
,
若年性脳梗塞
,
早期リハビリテーション
pp.671-676
発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110182
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はじめに
神経性食思不振症(anorexia nervosa;AN)は,身体像(body image)の障害や強い肥満恐怖に基づく拒食や摂食制限,あるいは自己誘発性嘔吐や下剤・利尿剤乱用を伴う過食といった食行動異常のために著しいやせを来し,その程度に応じてさまざまな身体的合併症や精神症状を呈する1).身体症状は極度の低栄養や排出行為などにより多臓器障害を引き起こし,低血圧,低体温,低血糖,骨粗鬆症,貧血,肝機能異常,感染症,電解質異常,循環器系合併症,内分泌系合併症など,その障害は多岐にわたる.一方,精神症状の一部は飢餓によって起こるが(飢餓症候群),易興奮性,抑うつ症状,強迫傾向,思考力・集中力・判断力の低下などがみられ,ときに自殺企図を示す.ANの多くは脳卒中の好発年齢とは異なる若年期に発症することに加えて,身体合併症としての脳卒中の発症もまれであることから,そのリハビリテーションの報告はほとんどみられない.今回,われわれは,ANに合併した若年性脳梗塞に対してリハビリテーションを行う機会を得,身体面のみならず精神面からもアプローチすることで良好な転帰を得ることができたので,その経験を報告する.
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