Japanese
English
講座 骨粗鬆症
5.脳卒中患者の骨代謝と骨密度
Bone metabolism and density in patients following stroke.
佐藤 能啓
1
Yoshihiro Sato
1
1弘前大学医学部附属脳神経血管病態研究施設機能回復部門
1Department of Rehabilitation Medicine, Hirosaki University School of Medicine
キーワード:
脳血管障害
,
骨粗鬆症
,
大腿骨頸部骨折
,
ビタミンD
,
副甲状腺機能亢進症
Keyword:
脳血管障害
,
骨粗鬆症
,
大腿骨頸部骨折
,
ビタミンD
,
副甲状腺機能亢進症
pp.439-443
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109762
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はじめに
慢性期脳血管障害患者(以下,脳卒中)では健常人の2~4倍の割合で大腿骨頸部骨折が発症し1),その約80%は片麻痺側に生じる2).これは脳卒中患者の易転倒性に加えて,片麻痺側の不動性骨粗鬆症が関与していると考えられてきた.事実,慢性期脳卒中片麻痺患者では健側と比較して患側で骨密度が低下しており,これは罹病期間が長いほど著しく,麻痺の程度が強いほど骨量が低下し2),片麻痺が上肢に強いことを反映して上肢に強い骨密度低下が指摘され,従来,局所の不動によると解釈されてきた.
しかし,最近の検討により,脳卒中片麻痺側の骨密度低下は,それ以外の因子が関与していることが指摘されている.すなわち,不動に起因する日光照射低下による皮膚でのビタミンD産生低下,不動性高カルシウム(Ca)血症,不動性骨吸収亢進,栄養障害によるビタミンK欠乏の骨量低下への関与が指摘され3-5),単なる廃用性骨粗鬆症ではないことが指摘されている.
本稿では脳卒中患者の骨密度低下の病態生理および治療について概説する.
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