Japanese
English
症例報告
前腕部挫創に上腕部駆血帯麻痺と手術時の前腕部神経損傷を合併した1症例
Tourniquet Palsy and Iatrogenic Peripheral Nerve Injury in a Patient with Traumatic Forearm Injury.
近藤 国嗣
1
,
木村 彰男
1
,
県 弘子
1
,
正門 由久
1
,
千野 直一
1
,
高山 真一郎
2
Kunitsugu Kondo
1
,
Akio Kimura
1
,
Hiroko Agata
1
,
Yoshihisa Masakado
1
,
Naoichi Chino
1
,
Shinichiro Takayama
2
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
2慶應義塾大学医学部整形外科学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
2Department of Orthopaedics, Keio University School of Medicine
キーワード:
駆血帯麻痺
,
double crush
,
電気生理学的検査
,
伝導ブロック
Keyword:
駆血帯麻痺
,
double crush
,
電気生理学的検査
,
伝導ブロック
pp.771-777
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109296
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はじめに
電気生理学的検査は神経筋損傷の病態や病巣を知るうえで重要な検査とされている.すなわち,神経伝導検査における伝導速度遅延や複合筋活動電位(compound muscle action potential;CMAP)の形態ならびに伝導ブロックの有無を知ること,針筋電図検査における線維自発電位(fi-brillation potential;fib)や陽性鋭波(positive sharp wave;p-w)の有無,随意収縮時の運動単位活動電位(motor unit action potential;MUAP)の振幅や持続時間,干渉型などを知ることにより,神経障害の部位や程度,軸索損傷や脱髄の有無などの病態が診断できる.また,経時的に電気生理学的検査を行うことにより神経再生の有無などの変化の推察も可能となる.
一方,複数の病巣を有する末梢神経損傷では,臨床所見のみでは病巣の部位ならびに病変の程度についての診断が困難であり,これらの特定のためには電気生理学的検査所見が重要となる.
今回,前腕部挫創に駆血帯麻痺,さらに手術時の末梢神経損傷を合併した1症例を経験し,その診断および治療方針の決定に際して電気生理学的検査が非常に有用であったので若干の考察を加えて報告する.
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