Japanese
English
調査
在宅高齢者の嚥下状態と生活習慣
Swallowing and Its Correlates in the Aged Living at Home.
鎌倉 やよい
1
,
岡本 和士
1
,
杉本 助男
2
Yayoi Kamakura
1
,
Kazushi Okamoto
1
,
Sukeo Sugimoto
2
1愛知県立看護大学
2愛知淑徳大学
1Aichi Prefectural College of Nursing & Health
2Aichi Shukutoku University
キーワード:
高齢者
,
在宅
,
嚥下状態
,
生活習慣
Keyword:
高齢者
,
在宅
,
嚥下状態
,
生活習慣
pp.581-587
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108686
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はじめに
高齢者では,誤嚥やそれに伴う肺炎が報告され,脳血管障害や加齢による嚥下機能の障害が問題となっている.加齢に伴って,歯牙の喪失,筋肉組織の緊張の減弱,靱帯のゆるみなどの退行性変化が咀嚼・嚥下に影響すると考えられ1),咀嚼能力の低下2),唾液分泌量の減少3),喉頭の閉鎖不全と食道入口部の開大不全4,5)が報告されている.また,高齢者は嚥下圧が低いために,嚥下反射後にも喉頭蓋谷や梨状窩に食塊が残留して6,7),気管口に流入する危険性のあることが考えられている.こうした退行性変化が加齢に起因するとしても,すべての高齢者に同様な変化が現れるとは考えにくい.
岡本は8),高齢者の活動能力を評価する方法として,握力等から算出された活動指数の有用性を報告し,その値が高齢者の日常生活を反映しうることを述べている.このように,高齢者の退行性変化は加齢現象に加えて,長期間にわたる生活に影響されることが考えられる.
高齢者の嚥下障害を考えるとき,退行性変化によって誤嚥を起こす状態になった後の改善が重要であることは言うまでもないが,日常生活を調整することによってこれを予防することができないものであろうか.現在のところ,嚥下障害を呈して医療機関を受診した高齢者に関する報告はみられるが,高齢者全体の嚥下状態の実態は明らかにされていない.
本研究の目的は,高齢者において嚥下に問題がある人が占める割合を明らかにして,それと加齢との関係および生活習慣との関係を検討することにある.そのために,在宅高齢者を対象として,嚥下の状態と咀嚼・嚥下関連筋の運動にかかわる生活習慣を調査した.
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