特集 WCPT
WCPTのメインプロジェクト
2.Community Based Rehabilitation(CBR)
渡邊 雅行
1
Watanabe Masayuki
1
1大阪大学大学院人間科学研究科
pp.197-200
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101127
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はじめに
本稿では,世界理学療法連盟(以下,WCPT)のメインプロジェクトの1つであるCommunity Based Rehabilitation(以下,CBR)について論じる.
1978年に世界保健機関(以下,WHO)は,「2000年までにすべての人々に健康を」という目標を掲げ,プライマリ・ヘルスケア(以下,PHC)戦略を強調した1).その中では,障害の予防とリハビリテーションの普及のために,コミュニティの関与の重要性に言及している.PHCの理念に基づき,コミュニティの参加を掲げたCBRは,保健医療システムや福祉制度が未整備の開発途上国での推進が主眼とされた.したがって,専門職の養成や医療機関が充実した先進国における「地域リハビリテーション」とは,実質的なサービスのあり方が異なる.
日本では理学療法士・作業療法士による訪問リハビリテーションを地域リハビリテーションと呼ぶこともあるので,それと区別するために,CBRは「地域に根ざしたリハビリテーション」や「地域住民参加型リハビリテーション」2)と呼ばれることもある.地域リハビリテーションとCBRは,障害者の権利や自己決定の尊重,多機関・多職種の連携やリファーラル(照会)のシステム,ノーマライゼーションやインクルージョン注)の理念など,多くの共通項を有する.
本稿では,CBRの定義,WCPTをはじめとするCBRをとりまく国際的な動向,CBRの事例や今後の方向性について述べる.
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