Japanese
English
研究と報告
失語症者における服薬の自己管理―自己管理を開始する基準の作成
Self-management of Taking Medicine for Aphasic Persons: The Criterion for Starting Self-management.
三田地(堀) 真実
1
,
近藤 徹
1
Mami Hori, Mitachi
1
,
Tohru Kondo
1
1埼玉医科大学リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Saitama Medical School
キーワード:
失語症患者
,
薬の自己管理
,
開始基準の作成
,
SMMAP(失語症服薬テスト)
Keyword:
失語症患者
,
薬の自己管理
,
開始基準の作成
,
SMMAP(失語症服薬テスト)
pp.1091-1095
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108242
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はじめに
近年,失語症者に対する言語治療において,disability level,あるいはhandicap levelへのアプローチが重要であることが指摘され,対人的なコミュニケーションの側面には,さまざまな代償手段の開発が試みられている1).しかし,失語症者を対象とした実際の生活場面における問題点を検討しようとした研究はまだ数少なく,本邦では自動車の安全な運転の可能性について岡本2)が報告しているのみである.
こういった生活面の問題のうち,服薬の自己管理は重要な問題である3).なぜなら,失語症者に限らず脳血管障害患者にとって,服薬の自己管理ができることは自宅退院するための必須条件だからである4).当科の看護部では,これまでに長谷川式痴呆スケールから一部抜粋した項目を用いて,薬の自己管理を開始するかどうかの判定を行ってきた5).しかし,この評価方法は,会話によって回答する形式が主であり,言語機能に障害のある失語症者の能力を適切に判断することが困難であった.
そこで今回われわれは,失語症者の服薬の自己管理が可能かどうかを予測するための検査(失語症服薬テスト:SMMAP)を考案した.これは,1)日常生活のスケジュール管理に必要な能力の測定を含み,2)聴覚的理解になるべく依存せず,3)短時間に試行できる,といった3つの点に特に留意して作成した.そして,この検査の臨床的な実用性について検討した.
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