Japanese
English
特集 障害児者の口腔機能とケア
摂食障害のリハビリテーション
Rehabilitation Program for Eating Problems.
梶浦 一郎
1
,
椎名 英貴
1
Ichiro Kajiura
1
,
Hidetaka Shiina
1
1ボバース記念病院
1Bobath Memorial Hospital
キーワード:
摂食障害
,
脳性麻痺
,
脳血管障害
,
治療
Keyword:
摂食障害
,
脳性麻痺
,
脳血管障害
,
治療
pp.763-769
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107936
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はじめに
中枢神経疾患による摂食障害の治療について,脳性麻痺(以下,CPと略す)と脳血管障害(以下,CVAと略す)による摂食障害をあげて述べることにする.
成熟した神経系が損傷された場合と幼若な神経系が損傷された場合では,当然症候論的にも大きな相違がある.しかし両者の間には共通点も多い.これは中枢神経系の機能の特徴と,その損傷による障害の特徴に由来する.
中枢神経系は統合の器官である.外界および個体内部の情報を入力し,処理し,環境へ適応するように行動の指令を行う.中枢神経系が損傷された場合,感覚の入力,情報の処理,運動としての出力のどのレベルでも影響を受ける.CPでは,このような神経学的な異常性と,発達上の停滞もしくは停止とが影響しあいながら臨床像をつくりあげる.CVAの場合,正常機能の停止と神経学上の異常性が起こる1).口腔の運動機能の障害も,感覚―運動のさまざまな要素,さまざまなレベルでの問題が相互に作用しながら形成される.中枢神経系の損傷による口腔の運動機能の障害は,あくまでも全身的な障害の一部であることを念頭におかなければならない.これは口腔咽喉の器質的疾患や,末梢神経,筋の損傷による嚥下障害が局所的な問題であることとの大きな相違である.
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