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特集 リハビリテーション・スタッフのトピックス
―今,言語療法の分野では―言語療法における嚥下障害への取り組み
Current Topic in Speech Therapy: Dysphagia Rehabilitation in Speech Therapy.
矢守 麻奈
1
Mana Yamori
1
1東京都立大塚病院リハビリテーション科言語療法
1Departmen of Rehabilitation Medicine, Tokyo Metropolitan Otsuka Hospital
キーワード:
言語療法
,
嚥下障害
,
チーム・アプローチ
Keyword:
言語療法
,
嚥下障害
,
チーム・アプローチ
pp.299-304
発行日 1995年4月10日
Published Date 1995/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107835
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はじめに;嚥下障害の発生頻度とリハビリテーション医学における取り組み
1.嚥下障害の発生頻度
嚥下障害は,非常に発生頻度の高い障害である.嚥下障害によるアクシデントには,むせが起こらず持続的な,いわゆる“silent aspiration”または“micro aspiration”,“むせ”,さらには“窒息”,誤嚥性肺炎などがある.1995年1月3日付の読売新聞朝刊によると,正月2日間に東京都内で餅などによる窒息死が3件(いずれも男性で年齢は75~80歳),重体も3件発生した.また野村ら(1994年)によると,東京都老人医療センターにおける1年間の剖検例335例のうち,誤嚥性肺炎や窒息など嚥下障害に起因するものが23%,約4分の1を占めた1).こう述べると嚥下障害は老齢者に特有の合併症のようであるが,決してそうではない.
都立大塚病院で1989年4月から1993年12月の間に,嚥下障害の評価のため嚥下透視検査(videofluorography,以下VF)を受けた脳血管障害患者124名のうち,最も多数を占めたのは60歳代で39%にのぼったが,検査中に誤嚥が見られた者が最も多かったのは,40歳代(誤嚥の出現率50%)であった(図1).体位や一口量が統制されているにもかかわらず,検査中の誤嚥率は全体で39.5%に昇った.またこのうち71.4%はsilent aspirationを示しており,日常における誤嚥の頻度はむせの頻度よりかなり高率であると考えられる2).
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