特集 現代の保健婦
社会保障の谷間をうずめて
丸岡 秀子
pp.30-33
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203078
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まさに“残酷物語”
わたしは,この数年間,「保健婦の手記」を読む機会をあたえられている.ある団体(生活教育の会)が,毎年募集する手記の選者になっているわけだが,この仕事は,わたしがいつも心待ちにしているものである.わたしはそのたびに,感動し,教えられ,また,問題意識をかきたてられる.
中でも,無医地区や医療にめぐまれない地方での保健婦の活動は,想像もできない疎外と矛盾の中におかれている.まるで,十字架にくくりつけられているような生活である.息苦しく,切なくまったく,たたかいといっていい.そして,そのたたかいのただ中で,わたしたちは,今日の保健婦制度の矛盾と,重い問題性をつきつけられるような気がする.
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