Japanese
English
短報
脳性麻痺幼児の聴力評価
Evaluation of Hearing of the Cerebral Palsied Children.
山田 弘幸
1
,
鷲尾 純一
2
,
永野 隆治
3
Hiroyuki Yamada
1
,
Jun-ichi Washio
2
,
Ryuji Nagano
3
1長崎リハビリテーション学院言語療法学科
2国立特殊教育総合研究所
3ながの医院耳鼻咽喉科
1Department of Speech Therapy, Nagasaki Rehabilitation College
2National Institute of Special Education
3Department of Otorhinolaryngology, Nagano Clinic
キーワード:
脳性麻痺
,
発達レベル
,
幼児聴力検査
,
難聴
Keyword:
脳性麻痺
,
発達レベル
,
幼児聴力検査
,
難聴
pp.419-422
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107362
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はじめに
乳幼児の聴力検査は成人や学童期以降のこどもの検査に比べて,特殊な装置や手続き上の工夫が不可欠である.さらに被検児がなんらかの発達障害を有していると,検査施行上の困難度は一層高まることになる.なかでも運動機能障害に加えて精神発達遅滞を合併していることも多い脳性麻痺児では,聴力検査が容易には行えないことが多い.
ところが,従来より脳性麻痺における難聴合併率は一般よりも高いことが報告されている.今西ら(1964)1)は24.2%(脳性麻痺痙直型よりもアテトーゼ型のほうが高率),服部(1966)2)は8.3%(両型間に差はなし),中野(1966)3)は27.6%(痙直型よりもアテトーゼ型のほうが高率)と報告している.つまり,脳性麻痺児においては,聴力検査が容易には行えないことが多いのに難聴のリスクが高いということであり,これは療育をするうえで細心の注意を要する問題である.
また,近年は脳性麻痺の出現率が低下しているとの報告(前川,19814))や,出現率が低下したとはいえないが疫学的な様相は変化しているとの報告(児玉,19905))があり,脳性麻痺における難聴の合併率や病型との関連については再度検討する必要性が生じている.
そこで,北九州市立総合療育センターに在籍した脳性麻痺児を対象に,低年齢で発達レベルも低い脳性麻痺児にどのような聴力検査法を用い得るのか,難聴合併率や病型との関連はどのようになっているのかを検討したので報告する.
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