1．靴型装具（足部の装具）

The Order and the Price of Foot Orthosis.

はじめに

　各種疾患や足部変形に対する靴型装具での矯正はリハビリテーション治療の一助として有効な手段である．欧米では長年，起床時から就寝時まで靴をはく習慣から，以前から靴型装具にはいろいろな面から考慮がなされてきた．アメリカ合衆国にはpodiatristという靴の専門家がいてリハビリテーション医とタイアップしてリハビリテーション医療に多大な貢献をしている．しかし，わが国では靴そのものの使用が明治維新以降で，伝統的に家の中では靴を脱ぐ習慣があり，欧米での方法をそのままわが国に導入できない特殊性がある．また靴の歴史が浅いことに起因して，靴の専門職人の人的不足など製作面での問題もある．膝や足部に疾患や変形のある人が“歩く”ためにはその足を保護する必要があり，靴にいろいろな工夫を加えれば，痛みが軽減でき歩きやすくなる場合が多い．

　本稿では，足の装具を概説し，その適応となる代表的疾患に対する代表的処方例をあげ，「補装具の種目，受託報酬の額等に関する基準」¹⁾（厚生省告示176，177号）を基にした実際の価格を示す．