Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
ポリオ撲滅の医学史上の快挙を描いた日ソ合作映画―未来への伝言
二木 立
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.365
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107063
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たった一つの薬が,疾病や障害を撲滅してしまうことは珍しい.ましてや,その薬が,国民の運動で普及することはもっと少ない.この映画に描かれているのは,今から30年前の1960~1961年に起こった奇跡のような現実.当時猛威をふるっていたポリオの流行は,母親たちの運動が実り,ポリオの生ワクチンがソ連から緊急輸入されるや,あっというまに終息してしまったのである.
おそらく,若い読者は,「ポリオ」による障害を診たこともないだろう.また,「小児マヒ」という言葉を聞いたときに,「脳性小児マヒ(CP)」を連想されるだろう.しかし,30年前には,小児マヒといえば,この「ポリオ(脊髄性小児マヒ)」を指していたのだ.肢体不自由児施設入園児童の「病類」を見ても,1950年代までは,ポリオが30%を越えて,CPを大きく上回っていた.そのくらい多くの子供をむしばんでいた疾病・障害が,あっというまに撲滅された.こんな医学史上の快挙がようやく映画化された.
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