書評
柳澤信夫・柴崎浩―神経生理を学ぶ人のために
中西 孝雄
1,2
1筑波大学
2三宿病院
pp.10
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106701
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神経疾患を診断するためには,病変部位とその病因とを確認しなければならないが,臨床神経生理学的検査は病変部位を検出するために必需な一検査法である.ところで,臨床神経生理学は今や目覚ましく急速に進歩している状況である.そのことに関連して,本書には臨床神経生理学について活発に研究し,素晴らしい業績をあげておられる著者らが,多数の項目をあげ,各項目について概念や,歴史,記録法,正常所見,臨床応用と適応などについて詳細に記載しているのである.
さて,いくつかの臨床神経生理学的検査は,かつてから既に臨床的に適用されている.すなわち,針筋電図の場合には,運動神経単位で伝達される神経・筋単位の持続,振幅,波型などが,末梢神経疾患による神経原性筋電図と筋疾患による筋原性筋電図とを鑑別診断している状態である.また,末梢神経伝導速度測定法は,髄鞘が主体に障害されている場合に伝導速度を遅延し,軸索が主体に障害されている場合に伝導速度を正常またはごく軽度低下とし,振幅低下を出現するため,末梢神経疾患の鑑別診断に有用であるという.
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