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実践講座 職業リハビリテーションの現状と問題点(4)
教育の現場からみた職業リハビリテーションの問題点―特に盲・聾学校生の問題を中心に
Problems of Vocational Rehabilitation from Educational Site: Especially problems of school for the blind and school for the deaf.
赤池 信夫
1
,
小畑 修一
2
Nobuo Akaike
1
,
Shuichi Obata
2
1筑波大学附属盲学校
2筑波技術短期大学
1University of Tsukuba School for the Blind
2Tsukuba College of Technology
キーワード:
職業リハビリテーション
,
盲学校
,
聾学校
,
就職
Keyword:
職業リハビリテーション
,
盲学校
,
聾学校
,
就職
pp.301-308
発行日 1990年4月10日
Published Date 1990/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106253
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盲学校の現場から
盲学校卒業生の進路と課題
赤池信夫
はじめに
よく「視覚障害者は三療(鍼・灸・マッサージ)以外に何ができますか」との質問を受ける.これが視覚障害者を知らない健常者の一般的発想だろうが,ここに進路問題の原点があるように思われる.換言すると,視覚障害者のことを理解していないのである.日本の場合,障害者に関する教育を受けるわけでもなく,障害者と一線を隔した社会に住んでおり,健常者の発想でものを考える習慣がついているのである.
確かに単独で何の補助具も使わずに健常者と同じ方法で同じ速度で作業することはできない.しかし,工夫と条件を整えることで不可能な仕事は少なくなってくる.強いてあげるなら,不可能なものは車の運転など機能障害である視力を直接要するものと,法的に制限されているものに限られてくる.それ以外はできるのである.事実,中途失明者の職業,職域は多種多様にわたっており,それは工夫と周囲の人々の理解と協力の賜である.
しかし,盲学校卒業生の進路を考えるとき,社会の壁は厚く,希望する職業につけない現実に直面する.視覚障害がどのような障害でどんなハンディキャップであるかが正しく理解されておらず,健常者の発想で一つでも心配事があれば無理だと予断されてしまう.最初から採用の対象から外されているのである.ここでは盲学校に勤務する一教員として卒業生の進路状況と問題点・課題を考えてみたい.
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