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はじめに
指導的社会福祉従事者の専門職の資格化は,ある意味で古くて新しい課題であった,というのも,最も古くは社会福祉主事資格に原点があるからである.戦後まもなく社会福祉事業法が昭和26年に施行され,その中で現行の社会福祉主事(当時の水準でのソーシャルワーカー)が法制化されたが,以来,いわゆる3科目資格(厚生大臣が定めた科目のうち,3科目を大学で履修して与えられる)の不十分さが関係者から指摘され,それに代わるべきより高度な資格が模索化されていたからである.
しかし,当時としては,そうした主事を養成する福祉系大学も極めて少なく,急増する福祉マンパマー需要には中等教育修了後の研修等で主事資格を取らせるという対応が現実的であったし,またそうした主事養成でそれなりの実績を上げてきたことも事実である.3科目主事にはいろいろ問題はあっても,福祉事務所の現業員など,社会福祉分野の公務員であるかぎりでは,社会福祉主事資格が専門職の実質的な底上げを果たしてきたといえよう.
次に,社会福祉士法制定試案が昭和46年,全国社会福祉協議会(以下,全社協と略す)などから出されたが,その背景としては,「社会福祉施設緊急整備5か年計画」との関係で,社会福祉施設の専門職員の養成・確保が当時の焦眉の課題となっていたことがあげられる.しかし,こうした職員の養成・確保も,一方では福祉系大学の新設や学生定員増等で,また地方では国や都道府県の施設職員に対する研修体制の充実,全社協の福祉施設士養成課程等により何とか対応が可能になった.もちろん,専門職の質的水準の面については,以上の経過においてもなお指導的職員の養成水準は依然として必ずしも高いとはいえない昭和26年以降の社会福祉主事レベルにとどまらざるを得ないでいたことを忘れてはならない.
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