書評
木下康仁 (財)日本老人福祉財団・立教大学社会学部 著―老人ケアの社会学/堀尾重治(九州厚生年金病院放射線科) 著―骨・関節X線写真の撮りかたと見かた(改訂第2版)
三宅 貴夫
1
,
井上 喜代太
2
1太田綜合病院内科
2小倉中央放射線科診療所
pp.470-471
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106080
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老人ケアに関する出版物は数多い.その多くが老人介護技術の解説書であったり,ケアの精神論に終始しているものが少なくない.これに対して本書は,老人のケアにおいて最も重要な「老人とはどのような人間なのか」「ケアとは何か」などの基本的なテーマについて鋭い視点から明快な議論を展開している、
「老人ケアの社会学」というタイトルから老人ケアに関した保健・医療・福祉の諸制度についての解説書と思われるかもしれない.しかし著者は,アメリカで心理学,文化人類学,老人社会学などを幅広く学び研究してきたという経歴からわかるとおり,歴史的社会的存在としての「老人」について考察し,そのような人間の「ケア」を社会学的視点から論じている.なぜなら,老人のケアも歴史的社会的に規定されているからである.
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