一頁講座 体幹装具とSeating System・6
脳障害児に対する座位保持―3.症例と工夫
繁成 剛
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1北九州市立総合療育センター
pp.463-464
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106078
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脳障害児の座位保持を工夫する中で,最も困難なケースのひとつに,全身性の異常筋緊張を有し,強い伸展パターンが出現するテンション・アテトーゼ型の脳性麻痺(以下,CCPと略)がある.従来より,過緊張を呈する子供に対して,股関節と膝関節を深く屈曲させ,脊柱を後彎させた,いわゆるボールポジションが有効とされてきた.この姿勢は確かに異常反射を抑制できるが,長時間続けることは苦痛を伴い,患児の自発的な動きさえも抑え込んでしまう.
過筋緊児を観察すると,間歇的に強い緊張が生じており,後頭部と足部を支点にそり返り,ヘッドレストや股間パッドを強く押さえつけ,その結果益々緊張を強めている.従って,緊張が生じた際に,一つの姿勢に抑えようとせず,ある程度の伸展パターンを許しつつ,緊張が弱まるにつれ元の姿勢にもどすといった,セラピストや母親のハンドリングに近い動きが必要と考える.この動きを座位保持椅子に採り入れ,異常緊張を有するCP児に有効であったので報告したい.
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