Japanese
English
講座 リハビリテーションと心理(5)
リハビリテーションにおける発達心理学的アプローチ―乳幼児期を中心として
Psycho-Developmental Approach to Pre-School Children in Rehabilitation.
上田 礼子
1
Reiko Ueda
1
1東京都立医療技術短期大学
1Tokyo Metropolitan College of Allied Health Scienses.
キーワード:
リスク児
,
intervention
,
養育環境
Keyword:
リスク児
,
intervention
,
養育環境
pp.871-876
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105700
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はじめに
1970年代以後,発達心理学の分野では子ども時代の発達のとらえ方にそれ以前とはいくらか異なる特徴がみられる.第1には人間の発達がこれまで一般に考えられていたように子ども時代に限られることなく,一生を通して重要な質的変化をする能力をもっていると見なされるようになっていること,第2には子ども時代の発達は親の態度やしつけの方針などによって決定される受動的なものではなく,個人が環境に働らきかけ,新たな行動結果を生みだしそれによって人間にとって最高に重要な能動的で選択的な状態を形成していくこと,第3には発達を促すあるいは阻害する要因としての環境に対する理論的枠組に関心がむけられ,新しいパラダイムから乳幼児をとりまく環境の検討がなされつつあることである.いいかえれば,生涯発達心理学life-span developmental psychology1,2)の誕生であり,個体と環境との相互作用を重視した発達観3,4)であり,生活環境を重視した生態学的発達研究5)の提唱である.
そして,これらの背景にはGesell A(小児科医,心理学者)に代表されるように今世紀初頃にみられ,50~70年代には乏しかった人間発達への学際的アプローチが70年代以降に再び活発になりつつあるという動向もある.
ここではこれらの新しい動向につき詳しくのべる余裕はないので,このような最近の動向が障害乳幼児の発達のとらえ方にどのように変化をもたらし,また将来もたらしうるかを概説し,ハンディキャップのある乳幼児のinterventionの種々の方法,乳幼児の生活環境の分析,方法などについて述べてみたい.
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