Japanese
English
講座 リハビリテーション医学と性の問題(3)
脳障害と性の問題
Sexual Problems in Brain Damaged Patients.
川平 和美
1
,
田中 信行
1
Kazumi Kawahira
1
,
Nobuyuki Tanaka
1
1鹿児島大学医学部霧島分院
1Kagoshima University Hospital Kirishima Branch.
キーワード:
脳損傷
,
性機能障害
Keyword:
脳損傷
,
性機能障害
pp.229-235
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105350
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はじめに
人口の高齢化とともにわが国でも,中高年のsexualityとその生きがいを含む心理情緒面への影響が重視されるようになった.人々の性に対する考え方は多様で性別や年齢などに影響されるものの,性的関心や性的能力(表1)は高齢まで良く保たれており1,2),性の問題は中年はもちろん高齢者でも切実で無視できない問題であることが明らかにされつつある3).
一方,リハビリテーションの分野に目を転ずると,若年層の多い脊損患者の性機能障害への関心に比べ,出生時発症の脳性小児麻痺や中高年者の多い脳卒中患者の性機能障害については関心が薄く配慮も少ないのが現状である4).脳卒中をはじめ何らかの能障害を有する患者の性機能障害は脳損傷による自律神経障害やホルモン異常,運動障害,知覚障害,高次脳機能障害のみならず,身体障害に伴う抑うつや劣等感,再発作の不安,配偶者との関係など多くの要因が複雑に関連しており,その原因解明と治療対策となると容易ではない.しかし,患者を精神的・身体的・社会的存在として把え,生きがいのある生活を送らせるためには性の問題は避けて通れない課題と思われる5).以下主に後天的障害である脳卒中や外傷,術後の脳障害について述べたい.
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