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はじめに
ICRE Ⅱ(Second International Conference on Rehabilitation Engineering)は,1984年6月17日~22日,カナダの首都オタワで開催された.この会議は,また同時に,アメリカ,カナダ両国で毎年開催されているRESNA(Rehabilitation Engineering Society of North America)の第7回目の会議でもあった.
RESNAは,1977年,アメリカ,カナダのリハビリテーション工学(以下,リハ工学とする)に従事する関係者を中心として結成され,以後今日まで北米のリハ工学の発展に大きく貢献してきた.
ICRE Ⅱは,このRESNAが母体となって実施した国際会議であり,オタワのCapital Congress Centerに1,000名以上の参加者を集めて開催されたりリハ工学に関する世界最大規模の学会であった.
本学会は主に3つの部分から構成されていた.1つはスペシャルセッションであり,1つは一般発表(口演とポスターセッション)であり,1つは展示である.
スペシャルセッションは課題別に10分科会が設定された(表1).一般発表は16テーマが設定され,281演題の発表がなされた(表2).展示は,各地のREC(Rehabilitation Engineering Center)注1)や大学,リハビリテーションセンターの研究活動を紹介する学術展示が半数以上を占めており,商品展示とあわせて96ブースの発表がなされた.
これをくまなく見聞すれば,北米のリハ工学の動向を一気に理解することができるわけであるが,実際にはこの3つのプログラムが同時進行するので,物理的に不可能である.ここでは,特に印象に残っているものを主体として紹介していきたい.
注1)1971年,アメリカでは“リハビリテーション工学”という新しい概念を打ち立て,以後,義肢装具・感覚代行機器に関する研究開発を積極的に推進する機関として,リハビリテーション工学センター(REC)を設立していった.RECは,研究開発,教育と訓練,患者へのサービスという3つの重要な役割を担い,主要大学の工学部と医学部を母体とする研究組織体として形成された.現在,18のRECが活動を続けている.
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