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はじめに
下肢装具は,わが国においても整形外科からリハビリテーション医学の領域まで広く用いられるようになった.
しかし,下肢装具の適応,チェック・アウトなどについては,わが国でも多くの文献がある1~4).
一方,その製作法については,ほとんど文献がないのが現状である.これには,いくつかの原因が考えられるが,第1には,わが国における義肢装具の製作という面で指導的立場にあった故飯田卯之吉先生が,装具の製作法については,ほとんど書き残されていないことがあげられる.
また,所沢の義肢装具士のための学校ができるまでは,義肢装具の教育機関としては,各地にある身体障害者職業訓練校の義肢科があったにすぎない.そこでのカリキュラムは,一応の基準はあるものの,かなり学校によって異なり,レベルも様々のようである.したがって,職業訓練校においては,下肢装具の製作法を教えるというよりは,装具の製作に必要な工作法を教えるにとどまっているという段階と考えられる.
また,わが国における義肢,装具の研究機関である国立身障センター,中部労災義肢センター都補装具研のいずれもが,その研究活動の中心に義肢を据えていることもあげられる.
さらに,業者あるいは製作者の側からみると,最も多く装具を扱ってきた整形外科医が,義肢よりは装具に関心があるとはいえ,その関心は決して製作法には向けられてはいなかったと思われる.
このような多くの要因によって,わが国では,下肢装具の製作法のマニュアルが生れてこなかったようである.
しかし,そのために製作業者は,各々が独自の工夫を持っているようにも思われる.そこで我々は3年程前から,アメリカで広く行われているLehneisの方法で短下肢および長下肢装県を製作するとともに,装具の製作法のわが国における状況を調査したのでいささかの検討を加え短下肢装具を中心に報告したい.
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