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はじめに
身体障害者福祉法は,昭和24年12月に制定され,3分の1世紀を経ようとしている.この間,科学技術の進歩や社会経済の進展に伴い国民の生活水準は向上し,諸環境は急激な変化をみせている.そして,戦争こそなかったが,疾病構造の変化や各種災害事故の増加,人口の老齢化もあって身体障害者の実態は,量的・質的に大きな変貌をみせている.昭和55年2月の身体障害者実態調査によれば,在宅身体障害者は約200万人(人口比で2.4%)で10年前に比べ約50%の増加であり,全般的に障害の複雑化,重度化,身体障害者の高齢化とともにニーズの多様化がみられる.他方,障害者福祉理念の変化や障害者運動の高揚もあって障害者の意識の変化も著しい.
特に,「完全参加と平等」をテーマとする国際障害者年を契機とする各方面における関心のたかまりは,身体障害者福祉法の制度的な在り方についても多くの問題を提起するようになっている.とりわけ,昭和57年3月,身体障害者福祉審議会(葛西嘉資会長)から厚生大臣あて答申された「今後におけうる身体障害者福祉を進めるための総合的方策」においては,「国際障害者年を契機として障害者問題に対する認識も深まりつつある今日,身体障害者福祉対策についても長期的展望に立つ基本的な再検討を行い,今後における施策の推進を期する」必要がある旨の提言がなされたところである.厚生省社会局は,この提言を受けて目下,その改善策について具体的検討にとり組みつつあるようであるが,その成果に深い関心と期待を寄せたいと思う.また,一方で障害者の生活保障に関しても重大な政策決定がなされようとしているやに聞くが,本稿では,身体障害者福祉法にもとづく「更生医療」の現状と若干の問題点について略述する.
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