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編集後記
上田 敏
pp.683
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105017
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今年の梅雨はひどく涼しく,寒いような日が続いたが,本号がお手もとに届くころにはいよいよ本格的な夏の暑さになっていよう.8号と9号は2号連続で久しぶりに「高次脳機能障害」の特集をおこなった.
筆者の「特集によせて」でも述べたように高次脳機能障害というテーマは,かつての失語・失行・失認のみという時代から,記憶・注意・意識などの障害,また痴呆などへと非常にひろがってきている.今回は失語症関係のものは別の機会にゆずり割愛したが,その他はできるだけ広い範囲のものをとりあげた.また今回は新しい試みとして,企画(依頼)原稿だけでなく,このテーマについての症例報告を公募したが,幸いに多数の投稿を得ることができ,リハビリテーション界におけるこの問題への関心の深さがうかがわれた.また筆者も強調したが「障害を中心にしたリハビリテーション医学的な見方」がかなりに浸透して来ているように見られるのも喜ばしいことである.水野氏の「歩行失行」,三島氏の「構成失行」,福井氏の「半側無視」はそれぞれ力作であり,教えられることの多い論文である.それに続く4つの症例報告も半側失認と視覚失認についての各2例で,興味深いものである.
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