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編集後記
上田 敏
pp.393
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103793
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「脳卒中のリハビリテーション」の特集をお送りする.このテーマの特集は本誌はもちろん,他の雑誌でもたびたび行われ珍しくもないようであるが,いぜんとしてリハビリテーションの最大の課題のひとつである脳卒中であってみれば,解明すべき問題は無数にわれわれの目の前に横たわっている筈である.本号でも幸いに新鮮な問題提起に満ちた特集を組むことができたと思う.
巻頭の渡辺氏は多数例についての詳細な観察により,片麻痺患者の運動機能の予後と決定因子を統計的に解析し,多くの興味ある成績を得ている.予後の研究は障害学の重要な部分を占め,臨床の実際にも役立つところ大きいが,これまで意外に信頼すべき研究に乏しい分野であった.今後,言語障害なども含めこの種の研究の発展をのぞみたい.重野氏は脳卒中における末梢神経障害という最近の話題について検討され,一部に論じられているdenervation atrophyの可能性はきわめて薄いと結論している.及川氏らは133Xeクリアランス法による局所脳循環動態の測定を通じて,片麻痺の回復と脳循環との関連をみ,その病態生理学的基礎について論じている.これら3篇はいずれも片麻痺の障害学においての重要な貢献である.
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