Japanese
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講座 上肢の機能解剖(5)
上肢動作の運動パターンと機能―特に障害手による食事動作を中心に
Motion Pattern and Functions of the upper Limbs: Eating Actions by the Affected Hand.
首藤 貴
1
Takashi Suto
1
1愛媛大学医学部整形外科
1Dept. of Orthop.Surgery, Ehime-University.
キーワード:
上肢機能
,
障害手
,
食事動作
Keyword:
上肢機能
,
障害手
,
食事動作
pp.667-674
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105013
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はしがき
ひとの手の機能は,種々の内容の作業を行うことができるため,運動系および感覚系の両面において非常に高度に分化,発達している.
この機能は高次神経系を介して協調性に富んだ微細な巧緻性動作が実行されるようコントロールされている.
この上肢に以下のごとき損傷が及び上肢機能に破綻を生じた場合,程度の差はあれ,本来の手の持つ機能が障害される.
1)何らかの原因により上肢が切断されるか,または先天的に欠損する.
2)外傷および腫瘍などにより頸髄レベルの脊髄損傷を受ける.
3)外傷や炎症性疾患により上肢の筋・腱や末梢神経に損傷が生じる.
4)脳性麻痺(CP)や脳血管損傷(CVA)により中枢神経に損傷を生じ,上肢の運動コントロールに破綻を生じる.
5)リウマチ,アルトログリポーシス等の関節疾患により上肢機能に障害を生じる.
6)筋萎縮性疾患などにより上肢筋力が低下する.など.
この障害を可能な限り軽減させ,いかに障害者の能力を向上させるかはリハビリテーション医学上の重要な課題である.
日常生活における手の果す機能は非常に複雑で多種目の目的動作を実行する.今回は特に食事動作を中心に上肢機能をその障害の中において観察する.
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