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編集後記
千野 直一
pp.1141
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104879
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はやいもので本誌が創刊されて満10年をすぎ,本号は10年をしめくくる号となった.この間,我が国のリハビリテーション医学の進歩がどれほどであったかはここでのべるまでもないことであり,そして,本誌がはたした役割も大きかったと自負している.実際,4日前に,第44回米国リハビリ医学アカデミーに出席して帰ったところであるが,演題の数は多いものの内容的にはさして目新しいものもなく,日本のリハビリ医学の進歩を自覚したしだいである.余談となるかもしれないが,米国でのこのような現象がみられる原因の一つには,今のレーガノミックスの影響によって米国全体の医学研究の低迷と,もう一つは,リハビリ医学を世界最高のレベルまでおしすすめた先達が第一線を退き,リハビリ医学界での若がえりの時期にあるためとも思われた.
さて,本号では特集として「排尿障害」をくんだ,リハビリ医学分野での排尿障害は“神経因性膀胱”が主体であり,リハビリ専門医は充分な知識をもとに,これらの患者のプライマリー・ケアにあたらなければならない.今回,生理と病理は今林氏他,診断は石堂氏,脳卒中は土田氏他,脊損は岩坪氏他,また,二分脊椎は小柳氏と,我が国での第一人者に御執筆いただけたことは望外のよろこびである.教科書にないup-to-dateの知識がもりこまれており,リハビリ専門医を志す人々の必読編となろう.
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