巻頭言
評価とその効率
窪田 俊夫
1
1中伊豆リハビリテーションセンター
pp.793
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104809
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一般に効率とは,与えられた総量のうち有効に使用されるものの割合を指している.この様な意味の効率を高めることは生産性の向上を目指している部門は勿論のこと,一般の臨床分野でも常に留意しなければならない事柄であろう.そこで本稿ではリハビリテーション(以下リハと略す)における評価の効率を高めるには如何にしたら良いかという問題を取りあげてみたい.機械の場合は有効仕事と供給エネルギーの比で効率が定義されており,これになぞらえて“得られた情報の質と量と評価に要したエネルギーの比”で評価の効率を表わすことにしたい.これら効率の因子の中で先ず注目したいのは情報の質である.この質を高めるためには評価を行う目的にもっとも適した評価方法を選択又は開発することが近道であろう.筆者は評価の目的とその目的に対応するテストを便宜的に1)障害の有無とその重症度を判別し,予後の推定,目標の設定,プログラムの選択等に必要な情報を得ること(障害分析型テスト),2)プログラムの作成に必要な情報を得ること(治療指向型テスト),3)治療効果の判定を行うための情報を得ること(効果判定型テスト)の3つに分けている.リハの領域で実際に用いられているテストを見るとその多くは,1),3)に属していると思われ,2)の治療指向型テストはその開発が著しく遅れているといわざるをえない.その結果,目的意識が不明確なまま本来の目的以外に開発されているテストが実施され,治療プログラムの作成はテストの結果とは余り関連をもつことなしに,いわば経験と勘に頼るという極めて低い効率に甘んじている状態が散見される.
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