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はじめに
1973年のリハビリテーション法第504条(Section 504 of the Rehabilitation Act of 1973,P.L. 93-112. 以下,第504条と省略),同施行規則については,障害者非差別を標榜する画期的な法律としてわが国に紹介された1).それらは,主に第504条の背景,制定の経過,施行規則の解説であった.
山田(1980a)は,盲人教師の不採用が第504条に抵触するとして提訴されたGurmankin v. Costanzo訴訟を紹介し2),山田(1980b)は,最近の聴覚障害者に関する判例(Crawford v. University of North Carolina,Barnes v. Converse College,Davis v. Southeastern Community College)を通して,第504条の意義を指摘した3).これらの判例から,第504条が障害者の非差別要求の法的根拠として重要な意義をもっていることが明らかとなった.
こうした米国の動向から何を学ぶべきかが究極的な目的であり,本論稿もその一環として位置づけられる.まず,問題状況,争点,判決の結果の把握のために,各判例の摘要を提示する.次に,判例を分析し,明らかになった点や問題点について若干の考察を加えることにする.
なお,第504条に関する判例は,連邦地方裁判所(以下,連邦地裁)の判決を収めているFederal Supplementや連邦控訴裁判所(以下,連邦控訴裁)の判決を収めているFederal Reporter等の判例集,法令集(United States Code Annotated),著書・論文4),判例を検索した結果,雇用関連判例5例,輸送システム関連判例6例,教育関連判例23例,その他1例の計35例を収集した.それが,参考資料に掲げた判例である.これらの判例のうち,雇用と輸送システムに関連する判例以外の判例の分析・検討は,本論稿と関連する事項について言及する場合のほかは,別の機会に譲りたい.
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