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講座
リハビリテーション医のための呼吸器入門(5)―呼吸不全のリハビリテーション
Pulmonary and Respiratory Medicine for Rehabilitation Doctor (5) Rehabilitation for Respiratory Failure.
芳賀 敏彦
1
Toshihiko Haga
1
1国立療養所東京病院呼吸器科
1Respiratory Medicine, Tokyo National Chest Hospital.
キーワード:
呼吸不全
,
リハビリテーション
Keyword:
呼吸不全
,
リハビリテーション
pp.393-400
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104322
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はじめに
呼吸器疾患のリハビリテーションの歴史は古く,その体系も,かつての国民病であった肺結核について打ち立てられていた.その詳細については私が結核1)にくわしく述べたので参照されたい.肺結核の減少と共に他の呼吸器疾患,特に慢性閉塞性疾患,肺線維症が時代と共にクローズアップされてきた.これらの疾患の病因,疫学,治療と共にリハビリテーションのあり方も検討されている.慢性閉塞性肺疾患2,3,4)については前号でくわしく述べたし,わが国では公害健康被害補償法の中で公けにそのリハビリテーション対策として取り上げられている.肺線維症についてもかって本誌に紹介した5).一方肺結核は激減したといっても,それは肺結核を感染症・伝染性疾患としての観点からであって,かつて300万人を擁した本疾患は形態的変化を残したまま治癒した例が多い.だからその変化により二次的に起こった機能障害,すなわち呼吸不全の問題は決して解決していない.また神経・筋系の疾患の代表であったポリオもその予防対策によりほとんどなくなったが,同じ筋・神経系疾患で呼吸の障害をきたすものがなお多く存在する.そしてその長期に管理が及ぶことで,呼吸不全リハビリテーションの一つの大きな問題疾患である.
このように特に慢性に呼吸不全をきたす疾患は平均余命の増加と相いまって増加し,また注目を集めている.そこでこのような状態――呼吸不全――もまた他の慢性疾患と同じくそのリハビリテーションを当然考慮せねばならない.そこでここでは呼吸不全の管理の中で特にリハビリテーション的視点からみたいくつかの問題点について述べる.
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