脳卒中のリハビリテーションにおける老人の問題点

The Problems of the Old People in the Rehabilitation of Hemiplegic Patients.

はじめに

　CVAが一過性脳虚血やstroke with full recovery（一過性脳虚血と硬塞の中問型と考えてよい）などを除いては，なんらかの障害を残すものであるが，その後遺症状が重い場合はもちろん，軽い場合であっても，患者が60歳以上の老人であれば，それでなくても身体的，精神的に退行の一途をたどっているだけに，その退行速度を早めたり，合併症・続発症を併発したり，さらにそれらが悪循環を形成して，ねたきり老人を作り上げることが少なくない．

　また，束の間の改善を示しても，退院後，家庭的，社会的因子も加わって退歩の一途をたどる例も少なくない．老人の年齢的宿命といってしまえばそれまでであるが，老人福祉のさけばれる今日，いくつかの医学的，社会的対策が残されているのではなかろうか．