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最近わが国でも特別養護老人ホームに機能訓練のための設備を置くことが規準化され始めているが,問題はそこに配属される人と内容である,Extended care facilitiesは厳密には中問施設をいい(half-way-house),わが国では,病院および養護老人ホーム(若い人の施設はほとんどなく)でこの種の患者を扱っている.米国では多くの人が医療保険としてBlue Cross Planに加入しているが,Blue Crossは病院3ヵ月,そして20~30日間のextended careをカパーする.職業復帰のための調整がさらに必要であれば職業,社会リハビリテーション局が経費を負担することになる.ということで短い期間に病院で行われたリハビリテーションセラピーの継続,およびADLの独立に専念しなければならないのでリハビリテーションのプランニングが必要で,時間のロスは許されない.すみやかにゴールの設定を行い,評価より退院まで目が廻るような忙しさである.
そのような背景を考えないとこの本の意図とするものが生きて来ない.このような中間施設において,リハビリテーションの効率を高めるのに国や州の機関が要求する規準に応じながらいかに機能を発揮するか,組織的なこと,運営面のこと,評価のポイントなどがまとめられている.評価の中に横断歩道に要する時間,バスに乗り料金を払うまでの安全性と時間,タクシーまで3m歩いて乗りこむまでの時間などADL面でも自立を考え,必要があればコンピューターを使用できるようなコードに整理されているのも特徴である.OT,PT,ST,ナースなど専門職および助手の院内研修,再教育についてもふれられていて,リハビリテーション医療におけるextended careの全体像がよくとらえられている.わが国では早期リハビリテーションが徹底していない現状なので,このExtended care facilitiesのためのManualが病院でちょうど使用できる内容であり,活用できるのではないかと考えざるを得ないのも皮肉なことであるが,今後の指針として中間施設を考えるのには充分参照できる内容である.
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