- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ボストン大学の国際学生協会の集まりで,パキスタンから来ている学生に,答えを想定した上でたずねてみた.「20年後の世界でどの国が一番強くなっているのでしょうね.」彼はすかさず「強いというのはどういう意味ですか.経済力か,軍事力か,政治力か,人口か,そのほかあるでしょう.それに20年というのは長すぎますよ.1952年に今日の日本の成長を何人が予想していましたか.今は4年か5年先しか考えられないくらいに,世界が急スピードで変っているのですよ.」彼の言葉は当たっている.8年前にニューヨークの市立病院に勤務した時のアメリカと今回とでは,まるで違った国家に留学したかと思うような変化を見せつけられている.
同級生のキャロルが夏休み中に先天性股関節脱臼のために両側の手術を受けた.医師から,「6週間で退院できるし,この手術は絶対必要である」といわれて,ついに決心したものだ.しかし片方を手術した後傷口がふさがらず,そのために予定していたもう一方の手術は延期された.傷口がふさがるのを待たず,アパートへ営業用の救急車で送られてきた.ADLのためにベッドから離れられず,起き上ることもできないので,Visiting Nurseが毎日1時間位来て,ガーゼの交換,トイレの始末,食事を作るなどの世話をした.担当医も時折顔を出した.そうしているうちに傷口がふさがったので再入院し,同時にもう一方の手術を終えた.この後も傷口がすっかりふさがらないうちに,ガーゼ,アンテバイオテックの薬を貰って退院してきた.この時から私と同じ所に住むようになったので,ベッドに寝ていた3週間をいろいろと世話をすることになった.できるだけADLに必要なものをベッドの回りにおいて,食事を作る,トイレの始末,買物,洗濯,お金に関することが主な手助けとなった.3週間後に主治医が来て,4点歩行の仕方を教え,その後の2週間は私の責任で歩行練習をした.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.