Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Q1 最近の関節リウマチに対するリハビリテーションの考え方は?
治癒困難と考えられてきた関節リウマチ(reumatoid arthritis;RA)の治療は新しい薬剤の登場により大きく変革した.1999年に導入された抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX)や2003年以降に使用が許可になった生物学的製剤により,RAの関節破壊の進行が抑制できるようになり,寛解導入,治癒も可能になってきた1).RAの治療は,今までの抗炎症剤やステロイド剤による生活の質(quality of life;QOL)の改善を目指す「care」の時代から,適切な抗リウマチ薬や生物学的製剤の使用によって関節破壊を防止して,長期的なQOLの維持を目的とする「cure」の時代へとパラダイムシフトが起こっている2).Emeryら3)はwindows of opportunity(治療機会の窓)というコンセプトを提唱した.RAは発症してから2年間は関節の破壊が最も進みやすい時期であり,生物学的製剤などの薬物療法の早期導入が,関節予後やQOLに大きな影響をもたらすことが認識されるようになった.
発症早期から積極的な治療と同時に,関節可動域(range of motion;ROM),体力や筋力の維持,変形を予防するためにも早期からのリハビリテーションの介入が重要である.早期RAは新規薬剤の反応性によって3つのタイプに分類され,タイプによって早期リハビリテーションの介入が異なる4).早期関節炎寛解例には過度の関節負担を防止し,局所の安静を保つ指導を行う.症状改善時にはROMの改善,筋力強化,体力増強を目標とした積極的リハビリテーションへ移行する.炎症は改善しているが関節痛,関節拘縮や変形などの機能障害が認められる場合は,従来の温熱療法や筋力維持などの運動療法を行い,関節保護の原則に従った生活指導を行う.治療に抵抗する症例には,障害予防的リハビリテーションに自助具,装具,住宅改造,在宅ケアなどの代償的リハビリテーションを加える.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.