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編集後記
川
pp.824
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102193
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先日ある学会で,中途障害者は「過去の自分(元気だった自分)」と「現在の自分(病気の自分)」を比べてくよくよし孤独になる.その元気を取り戻すための第一歩は「自分を客観視する」ことだという話を聞きました.「現在の自分」を「過去の自分」ではなく「現在の他人」と比べてみる.そして「ああなりたい」(「ああはなりたくない」でもいいそうです)と思うことで,将来のビジョンを持つことができ,「未来の自分」に意識が向いていく―.とても印象に残りました.
ミドルエイジクライシスという言葉があります.日本語では「中年の危機」.人生の折り返しの時期に陥る症状で,焦る,落ち込む,中には昔の恋人と一緒になると言い出して離婚したりする人もいるようです.「老いて行く自分」を認められず「若かった自分」に執着してしまうのでしょう.「前は校正の文字なんて余裕で見えたのに」とぼやいてないで,「ああなりたい」という将来のビジョンを持つべく,周りの素敵な人をよく観察するために老眼鏡を作りに行こう,と中年の危機真っ只中の誕生日,目を細めながら編集後記を書きつつ思った次第です.
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