--------------------
編集後記
川
pp.1038
発行日 2016年11月10日
Published Date 2016/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200781
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「季節とおばあちゃんのネタが多いよね」と指摘されておりますが,秋と言えば「読書の秋」.本にまつわるの思い出をひとつ.
子供のころ,落語が10編ほど収録された「まんじゅうこわい」というタイトルの絵本が大のお気に入りでした.風邪で学校を休んだ日はよく父が会社帰りに本を買ってきてくれたのですが,初めて買ってくれたのが確かこの本.おそらく「退屈で可哀想だから面白い本を」という気持ちからのセレクトだったのでしょう.これがまさかの大当たり.初打席にして大ホームラン.気を良くした父は,「次はさらに面白いものを」と思うも初打席ほどのヒットはでず.一方で調子に乗った娘は,「もっと面白の! ギャグ漫画!」とか言い出す.しかし考えてみればそもそもお見舞いに「本」は,やんちゃな娘に対する「風邪で寝ているときぐらい本を読め」という教育的指導の側面からだったはず.ある日父が買ってきたのは「はじめ人間ギャートルズ—科学編」でした.今にして思うと「科学編」というところにささやかな父の抵抗が見て取れるような気がします.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.