書評
Brotzman SB, Wilk KE(著),木村彰男(監訳)「リハビリテーションプロトコール―整形外科疾患へのアプローチ,第2版」
藤谷 順子
1
1国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科
pp.987
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101877
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本書の初版は1996年に原書が,1998年に翻訳版が出され,A5変型版,厚さ1.5cm程度の軽快な書籍ながら,ちょうど知りたい内容を盛り込んだ有用な本であった.どの時期にどのような訓練をしてどこまでの動きを許可するのか,そしてそれはなぜなのか,がコンパクトに述べられていたので,整形外科を志望する研修医にも勧めてきた.
第2版は残念ながら4cm以上と厚く,重くなってしまったが,内容はさらに充実している.さまざまな四肢の骨折,脱臼,損傷,拘縮について,診察,リハビリテーション(と安静度の)プロトコール,その理解に必要な病態の解説が,図表を多用してまとめられている.第2版では診断基準・分類など,整形外科の教科書的な要素も増強されたため,これだけを参照すればカルテが書けるようなテキストとなった.プロトコールは初版同様,目安日数の記載があるとはいえ,第1期,2期,3期というように治癒過程に沿って,ゴールと訓練・安静度指示がまとめてある.したがって日本の臨床でも,また急性期を過ぎた症例を診る場合にも応用することができる.図や写真が多いため,訓練スタッフのいない施設で患者に遭遇しても(あるいは知人に相談されても)自ら訓練指導をすることが可能である.病態と治癒経過の解説があるうえに,「○○ならば○○してもよい」という記述も多いため,患者の質問にも理論的・具体的に答えられるのが特色である.本人に読んでもらっても差し支えない.
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